このページでは「FXって何?」という初心者の方でもわかりやすいように、FXの仕組みや利益の出し方を解説していきます。
FXとは?(交換レートの説明とともに)
FX(外国為替証拠金取引)は、異なる国の通貨を売ったり買ったりして利益を出す仕組みです。
たとえば、アメリカのドルと日本の円の交換レート(為替レート)の変動を利用してお金を増やすことを目指します。
この「交換レート」という言葉は、FXの仕組みを理解する上でとても大切なポイントとなりますので、最初に押さえておきましょう。
交換レートとは
まず、交換レートとは、異なる2つの通貨を交換するときの比率であり「ドルと円」「ユーロと円」のように、2つの通貨を組み合わせたペアで表示されます。
たとえば、「1ドル=100円」という交換レートなら、1ドルを買うためには100円が必要、または1ドルを売ると100円がもらえる、ということを表します。
交換レートには、「通貨を買う価格」と「通貨を売る価格」があるのですが、この2つの価格は全く同じではなく、ほんのわずかですが価格に差があります。
この価格差をスプレッドと呼び、このスプレッドがFXトレーダーにとっては取引にかかるコストとなる一方、FXを扱う取引所や証券会社にとっては利益となるのです。
あなたが通貨を売るときの価格を買い値(Bid)といい、あなたが通貨を買うときの価格を売り値(Ask)といいます。
・売り値(Ask):あなたが通貨を買うときの価格。
通貨を「売る」のに「買い値」、通貨を「買う」のに「売り値」って呼ぶの?
たしかに、最初は混乱するかもしれませんね。
実はこの呼び方は、取引所や証券会社の視点からつけられています。
FXにおいて、あなたが通貨を売ったり買ったりする場合、その売り買いの相手は取引所や証券会社となります。
そして、あなたが通貨を売りたいとき、取引所や証券会社はその通貨をあなたから買うことになるので、このときの価格を「買い値(Bid)」と呼びます。
逆に、あなたが通貨を買いたい場合、取引所や証券会社はその通貨を売る立場になるため、この価格を「売り値」と表現します。
たとえば、ドル/円の交換レートが次のように表示されているとします。
・買い値(Bid)100.00円
・売り値(Ask)110.04円
この場合
・あなたが1ドルを買うときの価格:110.04円(売り値、Ask)
・あなたが1ドルを売るときの価格:100.00円(買い値、Bid)
取引の際に生じるこの価格差(0.04円)がスプレッドで、あなたにとっては取引コストになります。
そして、為替取引は世界中で途切れることなく行われていますので、この取引によって生じるスプレッドが積み重なり、取引所や証券会社にとっての利益となります。
交換レートはどう決まる?
交換レートは、世界中の通貨の需要と供給によって日々変動しており「その通貨を買いたい人が多いか」「売りたい人が多いか」によって決まります。
たとえば、以下のような理由で交換レートが変化します。
・経済状況
・金利差
・政治状況
経済状況が交換レートに与える影響
国の景気、経済状況が良いと、その国の通貨は買われやすくなります。
なぜなら、景気が良い国の通貨は「安定していて、価値が上がる」と考えられるからです。
これにより、その通貨の需要が増えるので、価値(交換レート)が上がります。
【具体例】
たとえば、アメリカの景気が良いとき「ドルの価値は安定していて、さらに上がる」と考える人が増える結果、多くの人にドルが買われてドルの価値が上がり、ドル高になりやすいです。
逆にアメリカの景気が悪くなると「ドルの価値が不安定になり、下がるかもしれない」と考える人が増える結果、多くの人がドルを手放して大量に売りに出されるため、ドルの価値は下がり、ドル安に向かいます。
このように、経済状況の変化は交換レートに大きな影響を与えます。
以上をまとめると・・・
・景気が良い国の通貨は価値が上がる(買われる)
・景気が悪い国の通貨は価値が下がる(売られる)
となります。
金利差が交換レートに与える影響
そもそも金利とは、銀行にお金を預けたときにもらえる利息のことで、それぞれの国で「その国の通貨を持っているとどれくらい利息がもらえるか」が定められています。
そして、ある2つの国の金利の違いにより生じる差額を金利差といいます。
【具体例】
金利の低い日本円と、金利の高いオーストラリアドルを例にしてみましょう。
日本の金利が0.1%の場合、日本円で100万円を持っていても、1年で得られる利息はたったの1,000円です。
ところが、この100万円をオーストラリアドルに換えると、1年で得られる利息は日本円で約40,000円になります(1オーストラリアドル=90円、金利4.0%の場合)。
同じ金額でも、日本円とオーストラリアドルのどちらで持つかによって、得られる利息は40倍も変わってくるのです。
この場合、次のようなことが起こります。
投資家は「日本円よりもオーストラリアドルを持っている方が得だな」と考えます。
そして、日本円を売ってオーストラリアドルを買おうとします。
その結果、オーストラリアドルの需要が増え、その価値(交換レート)が上がります。一方、日本円は売られるため、価値が下がります。
まとめると、以下のようになります。
・金利が高い通貨:その通貨を持っているだけで多くの利息がもらえる。
→ 投資家に人気があり、価値が上がりやすい。
・金利が低い通貨:利息が少ないため、人気が下がりやすい。
→ 価値が下がりやすい。
政治状況が交換レートに与える影響
交換レートは、国の政治的な状況に大きく影響されることがあります。
というのも、通貨がその国の経済力や政治の安定性によって信頼される資産であり、政治は通貨の信頼性や価値に直結するためです。
具体的には、政治が安定していると、政府の経済政策が継続的に実施され一貫性が保たれやすいので、通貨の信頼性が維持されます。
そして、その国は投資家にとってリスクが低いと判断され、資金がその国に流れ込みます。
その結果、通貨の需要が増え、価値が上がります(通貨高)。
逆に、政治が混乱すると、投資家はその国の通貨を持つことをリスクと考え、資金を他国に移動させます。
その結果、通貨の需要が減少し、価値が下がるため、その通貨がさらに売られて安くなっていくという悪循環に陥ります。
通貨の交換レートに影響を与える政治状況の変化として、以下のようなものが挙げられます。
・選挙結果:新政権の政策次第で、通貨が買われるか売られるかが決まる。
・国際関係:他国との外交関係が悪化すると、投資家がその国の通貨を避けることがある。
・突発的な事変:クーデター、戦争、テロなどの予測不能な出来事が通貨の価値を急激に下げることがある。
以上をまとめると・・・
・政治が安定している国:投資家にとって魅力的で、通貨の価値が上がりやすい
・政治が不安定な国:通貨の信頼性が低下し、価値が下がりやすい
となります。
ここまで、FXの基本である「交換レート」を説明してきました。
FXではこの交換レートを利用して利益を出していくのですが、具体的にどのような仕組みになっているのでしょうか。
ここからは、FXにおける基本的な利益の出し方について解説していきます。
FXにおける基本的な利益の出し方
1. 通貨の動かし方
FXでは、通貨を「買う」または「売る」という取引を通して、異なる通貨間での交換レートの差から利益を出します。
以下の2つの方法が基本となります。
(1) 安く買って高く売る
今後レートが上がると予想した場合に使う方法です。
【例】
①ドル/円のレートが1ドル=100円の時に、1万ドルを100万円で「買う」。
この場合、あなたは100万円の価値のある1万ドルを持っていることになります。
②その後、ドルの価値が上がり、1ドル=110円に上がったタイミングで1万ドルを「売る」。
この場合、1万ドルは110万円の価値になっているので、1万ドルは110万円で売れます。
①②の取引では、100万円で買ったものを110万円で売っています。
よって、この取引で得られた利益は10万円となります。
(2) 高く売って安く買う
今後レートが下がると予想した場合に使う方法です。
【例】
①ドル/円のレートが1ドル=100円のときに1万ドルを「売る」。
この場合、あなたは100万円の価値のある1万ドルを売ることで、日本円100万円を手に入れることになります。
②その後、レートが下がって、1ドル=90円になったタイミングで「買い戻す」。
この場合、あなたは1万ドルを90万円で買うことができます。
買い戻す前は100万円持っていたわけですから、①で売った1万ドルを再び手に入れても、まだ日本円は10万円残っています。
よって、この残った10万円が①②の取引で得られた利益となります。
2. 具体的な手法
上の「通貨の動かし方」でお話しした「売る」「買う」という取引を短期間で行うのか、長期的に行うのか、または2国間の金利差によって利益を出すか、という視点で4つの手法に分けられます。
【大前提】実際のお金を使うわけではない!
ただし、通貨を「売る」「買う」といっても、実際にあなたが持っているお金を使うわけではありません。
FXでは、口座を開き取引をするにあたって「証拠金」と呼ばれるお金を入金する必要があります。
これは取引のための担保となるお金で、実際に取引を行う際には、証券会社を通じて市場に出回っているお金を使うことになります。
ですから、日本円を売って米ドルを買うという場合、自分の口座にあるお金を使うのではなく、市場から日本円を借りる形をとり、その日本円で米ドルを買うことになるわけです。
同じように、米ドルを売って日本円を買うときは、市場にある米ドルを使って日本円を買うことになります。
この話はFXの取引を理解するうえで非常に重要になってきますので、しっかり頭に入れておいてください。
担保となる証拠金を預けたうえで、実際には市場にあるお金で取引するんだね
これはFXの基本ですが、分かりにくいポイントですので、押さえておきましょう
それでは、以下で具体的な手法をご紹介します。
手法1. スキャルピング(短期売買)
スキャルピングとは、数分~数時間という短い時間の中で小さな値動きを狙い、何度も取引を繰り返して利益を積み重ねる方法です。
英語で「薄い皮をはがす」という意味の scalp に由来しており、小さな値動きによって生じる薄い利益を素早く何度も剥ぎ取るように稼ぐイメージです。
【特徴】
・短時間で利益を狙える:数分~数時間の取引なので、日中の空き時間にも取り組めます。
・相場の大きな動きは不要:小さな値動きでも利益を出せるため、為替レートがほとんど動かない日でもチャンスがあります。
【具体例】
1. ドル/円のレートが1ドル=100.00円のときに、100万円払って1万ドルを買う。
これにより、あなたの手元には100万円の価値のある1万ドルがある状態となります。
2. 数分後、1ドル=100.10円に上がった時点でその1万ドルを売る。
この時点であなたが持っている1万ドルは100万1千円の価値になっています。
つまり、100万円で買ったものが100万1千円になっているので、この1千円が利益となります。
【メリット】
・短時間で結果が出るため、忙しい人でも取り組みやすい:スキャルピングは、たとえ数分であっても、その間に値動きがあれば、利益を出すことができます。そのため、ちょっとした空き時間にも取り組むことができる手法です。
・小さな利益をコツコツ積み上げることができる:わずかな時間に生まれた小さな利益をコツコツ積みあげていけば、徐々に利益額は大きくなります。逆に損失が出ることもありますが、金額が少ない分、一度に大きなダメージを受ける心配もありません。
【デメリット】
・常に素早い判断が求められる:常に動き続ける相場を見ながら短い時間で利益を出す手法ですので、取引の間は画面から目を離さず、「売る」「買う」の判断が必要になります。
・手数料に注意が必要:短いスパンで取引を繰り返すということは、それだけ取引回数が多くなるので、取引にかかる手数料(スプレッド)も増えてしまいます。せっかく積み上げた利益をできるだけ減らさないように、取引回数を調整したり利益額を大きくしたりする工夫が必要です。
【初心者向けのポイント】
短時間で練習ができるため、少額で始めて取引の感覚をつかむには最適な手法です。
手法2. スイングトレード(中期取引)
スイングトレードは、1週間~数ヶ月の期間で為替レートの大きな流れ(トレンド)を見極め、利益を狙う手法です。
為替や株式などの価格は常に上下に振れるように動いており、その動きの振り幅(スイング=swing)を狙って利益を得る取引手法であることから、この名前がつけられました。
【特徴】
・中期的なトレンドを狙う:日々の小さな値動きに惑わされず、大きな流れに沿って取引をします。
・ゆとりを持った取引が可能:チャートを頻繁にチェックする必要がないため、時間に余裕を持つことができます。
【具体例】
1. ドル/円のレートが1ドル=100円のときに1万ドルを買う。
2. 2週間後、1ドル=105円に上がった時点でその1万ドルを売る。
→ 利益: (105円-100円=5円) × 1万 = 5万円の利益
具体例の説明を簡略化しましたが、これは上でご紹介したスキャルピングの短時間取引を、より長い時間をかけて行うのと同じです。
【メリット】
・短期取引よりも時間的な余裕があり、焦らず判断できる:スイングトレードは1週間~数ヶ月という比較的長い期間をかけて取引を行うものなので、短時間の価格の変動に気を取られることがありません。
・大きなトレンドに乗ることで、1回の取引でまとまった利益を狙える:スキャルピングは小さな利益をコツコツ積みあげていく手法ですが、スイングトレードは長い期間で見た大きな価格の変動に着目した取引なので、1回の利益額も大きく狙うことが可能です。
【デメリット】
・取引する期間が長いため、予想が外れるリスクもある:一定期間における価格の上昇や下降に乗って取引を行う中で、当初予想していなかった価格変動が起こるケースがあります。このようなケースではいくつかの対処法があるのですが、初心者の場合、あらかじめ設定した金額に達したら、迷わず取引を終えるのが賢明です。
・急なニュースやイベントで相場が逆方向に動くことがある:株価や為替は常に世間のニュースやイベントによる影響を受けながら動いています。したがって、急なニュースやイベントによって当初予想していたものと真逆の値動きになることも珍しくありません。これも比較的長期にわたって取引を行うスイングトレードのデメリットです。
【初心者向けポイント】
チャートやニュースを照らし合わせながら、じっくりとの株価や為替の動きを学ぶのに適した手法です。
手法3. デイトレード(1日完結取引)
デイトレードは、1日の中で取引を完結させ、夜間にポジションを持ち越さない手法です。
【特徴】
・日中の値動きを利用:1日の中で上下する値動きを狙って利益を出します。
・リスクを限定できる:自分が寝ている間に、予期しないニュースによって急な値動きが生じ、損失が出てしまうというリスクを避けることができます。
【具体例】
1. 朝、ドル/円のレートが1ドル=100.00円の時点で1万ドルを買う。
2. 夕方、1ドル=100.50円に上がった時点でその1万ドルを売る。
→ 利益: (100.50円-100.00円=0.50円) × 1万 = 5,000円の利益
【メリット】
・1日で取引を終えるので、夜間のリスクを回避できる:自分が寝ている間は相場の動きをチェックすることができないため、その間に生じた急な値動きにより損失を被る恐れがあります。デイトレードは、自分が起きている時間帯だけ取引を行うので、この損失リスクを回避できます。
・短期的な値動きに集中して利益を狙える:自分が起きて活動している十数時間に限って取引を行う手法なので、その日のニュースや出来事に着目することで値動きを予想し、利益を狙いやすくなります。
【デメリット】
・相場の動きを1日中を確認する必要がある:自分が起きている時間に限定するとはいえ、その間は常に相場の動きをチェックし続ける必要があるため、1日のうちまとまった時間を確保できない人には難しい手法です。
・大きな利益を狙いづらいこともある:1日中相場をチェックしていたからといって、常に大きな利益が出るような値動きになる保証はありません。時間対効果の低い結果になる恐れがあるという点もデイトレードのデメリットといえます。
【初心者向けポイント】
夜間に取引を持ち越さないため、リスク管理がしやすく、初心者におすすめの手法です。
手法4. スワップポイント
スワップポイントとは、2つの国の金利差から得られる利益のことです。
金利の高い通貨を買い、金利の低い通貨を売ることで、金利差によって生じた利益をスワップ(=交換)ポイントとして受け取ることができます。
このポイントは毎日発生するので、毎日利益を積み重ねていくことができます。
【特徴】
・長期的に安定した利益を狙う:日々生じる為替レートの変動ではなく、2国間の金利差によって利益を出す手法なので、為替レートが大きく動かなくても利益を得られます。
・金利差を活用:金利の高い通貨を保有し続けることで、長期的に金利収入を得られます。
【具体例】
日本円を売ってオーストラリアドルを買う際、市場から日本円を借りてそれをオーストラリアドルと交換する形になるわけですが、借りた日本円は金利が低いので、返す金額も少なくて済みます。
一方、オーストラリアドルを買う、つまり保有すると、銀行預金と同じように一定の金利をもらうことができます。
このとき、日本円の利息の返済分と、オーストラリアドルの金利分の差額が利益となるわけです。
数字を使って説明すると、レートが1オーストラリアドル=90円のときに、1万オーストラリアドルは90万円の価値になります。
この1万オーストラリアドルを90万円で買う場合、1年後に支払うべき日本円の利息額は90万の0.1%=900円。
一方、1万オーストラリアドルを保有することでもらえる利息は90万の4%=36,000円。
よって、36,000円もらって900円支払った残りの35,100円が利益となります。
【メリット】
・通貨を持っているだけで毎日利益が入る:スワップポイントは日々のレートの変動ではなく金利差によって毎日生じるので、通貨の売り買いを細かく行わなくても毎日利益が手に入ります。
・長期保有することでコツコツと利益が積み上がる:他の手法に比べて短期間で手に入る利益は小さくなりますが、日々のレートの変動による影響を受けにくいので、長期的に保有すれば利益が積み上がっていきます。
【デメリット】
・為替レートが大幅に下がると、スワップポイントの利益以上に損失になる:スワップポイントに取り組み始めた時よりも為替レートが大幅に下がると、保有している通貨の価値自体が大幅に下がることになり、スワップポイントで得た利益よりも損失が大きくなってしまいます。
・金利が変動するリスクもある国内外の様々な事情によって金利が変わることがあり、その金利変動によって利益額が小さくなるリスクがあります。
【初心者向けポイント】
為替の動きに不安がある初心者でも、長期的に安定した利益を狙える手法です。
以上4つの手法の特徴をまとめると、以下のようになります。
・スイングトレード: 中期的なトレンドを狙う手法。
・デイトレード: 1日の値動きで利益を狙い、夜間リスクを避ける手法。
・スワップポイント: 金利差を利用し、毎日安定して利益を得る手法。
最後に
以上が、基本的なFXの仕組みや利益の出し方となります。
どの手法にもメリット・デメリットがありますので、まずはデモ口座や少額取引で練習しながら、自分に合った手法を見つけていきましょう。